家庭備蓄の啓発コンテンツ
豪雨・台風の備え
地震は「いつか」、豪雨は「毎年」。毎年来る災害には、毎年使える「型」で備えます。
避難情報は、危ないときほど遅れる
短時間の激しい豪雨は、この数十年で明らかに増えています。 1時間に50mm以上の「滝のような雨」の観測回数は、直近10年ではおよそ30年前の1.5倍になりました(気象庁)。
そして知っておいてほしいのが、避難情報のタイミングの限界です。 西日本豪雨(2018年)のある町では、未明に浸水被害が発生した後になってから、避難指示と大雨特別警報が発表されました。 自治体を責める話ではありません。急激に発達する雨では、 情報が被害に追いつかないことがある——これが構造的な現実です。
だから結論はシンプルです。 「情報が出てから逃げる」ではなく、「空振りを恐れず、明るいうちに早めに動く」。 夜の暗さと、道路の冠水が重なってからの移動が、いちばん危険です。 膝下ほどの深さでも、流れがあれば大人でも足を取られますし、冠水した道ではマンホールや側溝の位置が見えなくなります。
それでも人が逃げない理由
被災地の調査では「危ないと分かっていたのに逃げなかった」という声が繰り返し記録されています。 これは油断ではなく、人間なら誰にでも働く心のクセです。 「うちは大丈夫」と危険を小さく見積もる正常性バイアス、 「前の台風も平気だった」という経験の逆機能、 「近所の誰も逃げていない」で安心してしまう多数派同調バイアス—— 3つの詳しい説明はわが家に合わせた備え方にまとめています。
大切なのは、このクセを逆手に取ることです。 多数派同調バイアスは「誰かが逃げれば、みんなが逃げやすくなる」という意味でもあります。 あなたが率先して避難し、声をかける——それが家族とご近所を動かす一番のスイッチです。
避難の「型」を持つ
明るいうちに動く
避難のデッドラインは日没です。 雨と風のピークが夜に重なりそうなら、昼のうちに移動を済ませる。 「まだ大丈夫」のうちに動くから、安全に動けます。
避難先は避難所だけじゃない
安全な場所へ移ることは、すべて避難です。 親戚や知人の家、ホテル、高台の実家—— 浸水想定のない家なら、2階で過ごす在宅避難も選択肢です。
空振りを恐れない
10回逃げて10回何もなくても、それは「無駄」ではなく「訓練」です。 あなたが避難しないことで誰が捜しに来るか、 あなたに万一のことがあれば誰が悲しむか——それを思い浮かべてください。
スマホと「約束」の備え
豪雨・台風の備えで一番安いのに一番効くのが、情報と約束の備えです。お金はほとんどかかりません。
- スマホの緊急速報(エリアメール)が鳴る設定になっているか、家族全員分を確認する
- 天気アプリとハザードマップポータルをホーム画面に置いておく。雨雲レーダーで「あと何時間動けるか」が読める
- スマホに不慣れな親世代には、近所の人や子ども・孫が「危ないときは連絡する」と約束しておく。国土交通省もこの「逃げなきゃコール」を呼びかけています(国交省の紹介ページ)
- 離れて暮らす家族の住まいのハザードマップも、一度見ておく。危険が近づいたときの「あなたからの一本の電話」が避難のきっかけになる
ブックマークしておきたい気象庁の公式ページ
- 気象警報・注意報(気象庁)——今どの警報が出ているかの大元
- キキクル(大雨・洪水の危険度分布)(気象庁)——自宅周辺の危険度が地図の色で分かる。「紫(危険)」を待たず「赤(警戒)」で避難開始を
- 今後の雨(降水短時間予報)(気象庁)——15時間先までの雨の予測。「あと何時間、明るいうちに動けるか」を読む道具
- 天気予報(気象庁)
台風が来る前日のチェックリスト
台風は数日前から進路が分かる、準備できる災害です。前日までにこのリストを一巡しましょう。 チェックはこのブラウザに保存されます(台風のたびにリセットして使ってください)。
家の外(風が強くなる前に)
家の中
情報と約束
毎年来るから、毎年うまくなる
豪雨・台風対策のいいところは、毎年練習の機会があることです。 今年の台風で前日チェックリストを一巡すれば、来年はもっと手早くできます。 そしてこの型は、そのまま地震の備えの土台にもなります。 あわせてわが家に合わせた備え方と備蓄のきほんもどうぞ。
本ページの内容は、高知大学 防災推進センター 大槻知史教授の防災教育・被災地調査の知見をもとに構成しています。 統計の出典:気象庁「大雨や猛暑日など(極端現象)のこれまでの変化」。